色のコラム

2021.04.16
「色を伝えることば」

    


「ソメイヨシノ」と「八重桜」 のピンク

コロナ禍が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
今年も桜は変わらず綺麗でしたね。皆さんもご覧になられたでしょうか?
桜にも様々な種類があります。下に2種類の桜の写真を用意しました。
左がソメイヨシノ、右が八重桜です。
さて、ここで質問です。
この2つの花の色は同じ色でしょうか?違う色でしょうか?

ソメイヨシノ

八重桜

「ピンク色」と言ってしてしまえばどちらもピンク色ではあるけれど、全く同じではない…と感じるでしょう。「薄いピンク」と「濃いピンク」という言い方もできます。
このように、色を表現する方法はさまざまで、使う場面や目的によって適切な方法で伝えることが大切です。

(1)慣用色名
この2つの色はどちらも桜の色なので「桜色」と表現することができます。これは慣用色名といって、花や食べ物、文化などから付いた色の名前です。イメージしやすく伝わりやすいですが、表す色の範囲が広いのが特徴です。JIS(日本工業規格)には、269色の慣用色名が制定されています。

(2)系統色名
赤、青、黒などの基本的な色の名前に、修飾語を付けて表現するのが、系統色名です。修飾語は「赤みの」「黄みの」というように色あいをより細かく表すものや、「明るい」「くすんだ」など色の調子を表すものがあります。JISでは350色制定されています。
上の2つの桜の色を系統色名で表現すると、
・ソメイヨシノ…ごく薄い紫みの赤
・八重桜…明るい紫みの赤
となります。慣用色名とは違い、色の違いが表現されています。

(1)と(2)は表す色の範囲が広い表現方法です。ですので、主に日常会話で色を伝える時や、売場の販売員がお客さんに色を説明する時に使います。

(3)マンセルシステム
マンセルシステムとは、色の3つの要素である「色相(色の色みのこと)」「明度(色の明るさのこと)」「彩度(色の鮮やかさのこと)」を、数値や記号を使って表現する方法です。約5000~6000色表現することができます。
ちなみに、上の2つの桜の色のマンセルシステムの値はおおよそ、
・ソメイヨシノ…10RP9/2.5
・八重桜…5RP6.5/10
となります。先の2つの方法よりさらに細かく表現できますが、この値を聞いただけではどんな色か想像しにくいですよね。このマンセルシステムは、主にデザイナーが決定した色を説明したり図示したりする場合に使用します。

その他にも、色を使う場面や目的によって、さまざまな表現方法があります。普段使っている“色の言葉”に少し注目してみると、面白い発見があるかもしれませんね!

青空と桜の下でお花見ができる日が早く戻ってきますように…☆ Photo by Reiko Ohno

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