色のコラム

2014. 06. 30

JCCクリエイターが語る雑貨の世界 今田レポート⑬
今田 正義 イマダプランニング 代表



|| 今、再び「雑貨」に注目です。

 以前に「雑貨」について「月刊・流行色」誌上に、小文を発表しました。

あの当時は「日用品小間物雑貨」が中心でした。

今日では「インテリア雑貨、服飾雑貨、日用品雑貨、園芸雑貨、化粧品雑貨、

そして食品雑貨・雑菓」まで広がり、それぞれの業種品が混じり合い、生活全般の雑貨になりました。

 

もう一度、雑貨とは、、、雑貨の市場予測をして述べてみます。

三省堂発行の新明解・国語辞典第七版の581頁に掲載された「雑貨」は

「毎日の生活に必要なこまごまとした日用品」とあります。

必要な必需品となっていますが、近頃の雑貨は必ずしも必要ではない、

物によっては 必需ではないが、持っているだけで心が和み、楽しい品物

のことです。

趣味趣向の要素が大きく、個人差が有ります。ある人にとって必要不可欠な

品物が、別の人になると全く不要なもので、邪魔かもしれません。

 

 

私が愛用している卵焼き用の小型の土鍋(島根県・宍道湖近くの出雲市の

手造り陶芸です。

 

小型のフライパンでも充分目玉焼きは出来ますが、土鍋に生卵を落とし、

直火で焼き、蓋をして蒸らし、半熟を見はかって、つゆ醤油を少量たらし、

熱いのを食べる。大げさに言えば顔がほころび、幸せ感にひたるのです。

 

趣味的雑貨とは生活必需品の枠を超えて、その人の感性にふれる物を

言います。 何年か前に「断、捨、離」と言う言葉が流行りましたが、私に

とっては捨てられない土鍋なのです。

 

陶磁器(焼き物、瀬戸物)の必需品は「めし茶碗、小皿、湯のみ茶碗」の三点」

これを作っておれば、窯元は仕事になり、稼げましたが、市場は物余りの

過剰生産となり、焼き物は破損しない限り、半永久にあり、不況の種となり

ました。

 

そして昔ながらの焼き物店は街から消えてしまいました。

この他、消えつつある業種「家電気店、自転車屋、履物店、呉服店、家具店、

八百屋、和菓子店、本屋、化粧品店、小間物屋、酒店、豆腐屋、、、などなど

昨年の通産省のデーター発表によれば、毎年一年間に、日本全国で、実に

二万軒の小規模小売店が閉店しています。

 

 

|| グランドショップ展開する大型のリビング店へ

これらの商品群が市場から消滅するのではなく、グランドショップ展開する

大型のリビング店に取って代わりました。

 

「無印良品」が市場に出て、インテリア雑貨のパイオニアは40年近くなります。

当初はブランドマークの無い「無印」でも「良品」としての信頼を売りにしていました。

西武系の中でも成功した「ムジルシリョウヒン」(欧州ではムジ)と四文字熟語的に

呼ぶ商品群はかってそれぞれの専門業種だった物品を従来の雑貨の範囲

kategorie)の垣根を越えて、自転車、食品(焼き菓子、ハーブティ、ドライフルーツ)、

インテリアはもちろん家屋(建築物)まで扱い、零細専門店を閉店に追いやりつつ

あります。

 

私が住む埼玉県でも大型のジョイフルホンダ、カインズ、ニトリ、ヤサカ、他

ドラッグストアがあり、消費者(購入者)はあちこちに行かなくても大型店で殆んど

買えるるため便利です。

こうしたグランドショップは雑貨全般を扱ってはいますが、高級な逸品は有りません。

お気に入りの逸品を求める客は従来の百貨店、高級専門店、そして通販のシステムが

認められて高級な品や限定的な作家物や、数量の少ない品物が雑貨という枠を

広げて取り扱われるようになりました。

百貨店や、家電店で品物と値段を調べ、通販で購入することがごく自然に行われ、

見方を変えればシャッター通りを作っている状態に成りつつあります。

今後大型店同士の競合、中小スーパーの統廃合も続きます。

 

陶磁器の品種の一つである「北欧」の雑貨的(民芸)な器類や、日本の民芸品が

流行の波は上下しますが、根強い人気を持ち続けています。

前文に書きました土鍋も民芸品の一つです。

 

店舗を構える商いは言うまでもありませんが、インターネットによる若い通販の

経営者は自らその品物を使い「こんな点が良いとか、便利とか、自宅のリビングや

ダイニングをネットに公開し、それを売りに結び付けています。

「商い」の基本である品物の良さを自らの体験で勧め、ターゲットのお客も同年輩で

安心して、仲間としての愛用者になっています。

 

「民芸」と言う言葉は柳宗悦(やなぎむねよし・1889~1961)が日本や朝鮮で、

収集した無名の工人による「用」に即した日用雑器を、大原美術館の大原孫三郎の

援助で東京・駒場に日本民藝館を設立しました。(平凡社・やきもの事典・1993年

第二版より)。民芸については後日改めて書きましょう。

                                             

Copyright (C) JAFCA - Japan Fashion Color Association