色のコラム

2013. 03. 18

モノの色いろいろ 
JAFCA 出井文太

|| グリーンを巡って

ふだん何げなく使っている色名ですが、色の名前として使われる色名の背景を探っていくと、おもいがけない面白い発見に出会うことができます。色名は、あるモノの名前が、その色名として呼ばれるようになったものであり、その色名のもとになったモノが持つ様々な、自然、文化、歴史などの背景を抱えています。ある色名の由来をたどっていくと、その色名が持つ意外な背景に出会うこともあります。このコーナーでは、そうした色名の背景が持つ様々な面白いエピソードをご紹介いたします。 

|| 五月祭の緑

 
 
五月祭はヨーロッパ各地に残る伝統的な祭事の一つで、その起源はキリスト教以前にまで逆上ると言われています。萌え出る草木の緑に象徴される、春の訪れを神に感謝する祭りであり、祭事に際しては、春の訪れを象徴する緑の葉と花で飾られた柱であるメイポールが建てられます。労働者の祭りとして5月1日に開催されるメイデーも、五月祭の伝統を受け継いだ行事としての起源を持つと言われています。本来の五月祭も、現在でも欧米各地で開催されていますが、五月祭では、メイポールにも象徴されるように緑が象徴的な色として用いられており、この祭りに際しては、人々は緑の色の服で着飾る習慣になっています。 色名のメイフェアー・グリーンは、この五月祭に用いられる、鮮やかな緑色に由来するものです。その鮮やかな緑色は、黄みの緑から青みの緑までバリエーションがあり、JBCC色名事典にも、黄みと青みの両者が記載されています。  

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