一般社団法人日本流行色協会 JAFCA



オカメインコの色

3okames.jpgオカメインコと言えば、誰もが右にある写真のような配色の鳥を思い起こすことでしょう。オーストラリア産のこの鳥は、日本へも古くから(1910年代)輸入され、ペットとしての歴史もかなりあるのですが、原種のグレーの色が地味なことから、同じオーストラリア産のセキセイインコなどと比べるとまったく普及せず、1960年代頃までは価格もセキセイインコの10倍ぐらいしていたそうです。
ところが、近年日本のペット事情も変わり、マンションやアパートなど共同住宅での生活者が増えると、大型で鳴き声が大きい動物は敬遠されるようになり、90年代以降のヒーリング(癒し)ブームにもノッて、にわかにオカメインコが注目されるようになりました。オカメインコは、普段は大人しく気性も穏やか、さらに表情がとても豊かで、見ているだけで心が和みます。また、人間にもよくなつき、オスはしゃべったり、歌を唄ったりもするのです。
その後、驚くほど多種の配色のオカメインコが様々な交配によって出現していますが、その配色は、もともとオカメインコがメラニン色素(黒〜グレー〜茶色)とリポクローム色素(黄色〜オレンジ)しか持たないため、かなり地味な変化でしかありません。しかし、それがまた微妙な色のニュアンスを感じ取る日本人には魅力的に映るのか、現在ではたいへんな人気となり、大きなペットショップでは、必ずと言ってよいほどオカメインコを見かけるようになっています。

オカメインコの基礎知識

学名:Nymphcus hollandicus

オーストラリアを初めて本格的に調査したオランダ人が、オーストラリアを「ニュー・オランダ」と名付けたことから、元々はPsittacus novae-hollandiae(ニュー・オランダのオウム)と呼ばれていましたが、1832年にドイツのヨハン・ワーグラーによって「ニューオランダの妖精」という意味のこの学名が付けられました。

英名:Cockatiel

1845年にヨーロッパでペット目的の繁殖が行われ、ペット業者がポルトガル語のCacatilho「小さなオウム」を元にCockatielと命名しました。

分類:オウム目オウム科オカメインコ属オカメインコ

和名はインコですが、冠羽と頭蓋骨の構造からオウム科に分類されています。また、色変わりはただの品種であり、生物学的にはオカメインコは1種類しか存在しません。

和名:オカメインコ(片福面鸚哥)

見てお分かりの通り、頬のオレンジ色部分をおかめ(片福面)のお面の頬紅に見立て、この名前が付けられました。

オカメインコの品種

peko_up.jpg野生のオカメインコはオーストラリア内陸部の乾燥地帯に生息し、地上に降りて落ちた植物の種などを好んで食べます。時々麦畑やトウモロコシ畑などを集団で襲うことから、農民たちからは害鳥扱いされることもあるそうです。日本で言えばスズメのような存在かもしれません。
野生のオカメインコは、通常すべてノーマルと呼ばれる顔と翼帯以外全身グレーのタイプです。色変わりの品種は、1949年にアメリカで生まれたパイドが最も古く登場し、つづいてルチノー(1958年アメリカ)、シナモン(1960年代後半ベルギー)、パール(1967年ドイツ)、ファロー(1960年代オーストラリア)、ホワイトフェイス(1969年オランダ)、シルバー(1979年イギリス)、イエローフェイス(1980年代ヨーロッパ)などが主な品種として認知されています。
オカメインコは色素を2つしか持たないため、色の変化は他の派手なインコたちに比べ少ないと言えるでしょう。しかし、その微妙な変化に対し、それぞれ名前を付けて分類することは、日本人の感性にピッタリとはまります。昔から「四十八茶百鼠」といわれるくらい、日本人の微妙な色に対するこだわりは強く、そのグラデーション的な色変化を楽しむ伝統があります。
それでは現在血統的に固定した品種の主なものを紹介してゆきましょう。

色変化の原因

kyoro_up.jpgオカメインコの色は、大きくは以下のような要素で変化します。

  1. 色素が欠落したもの(ルチノー、ホワイトフェイス、アルビノ etc.)
  2. 色素が変化したもの(シナモン、ファロー、シルバー、パステルフェイス etc.)
  3. 配色が変化したもの(パイド、パール)

オカメインコの色は、大きくは以下のような要素で変化します。

  1. 顔部分の色
  2. 体の羽色
  3. 羽の模様

オカメインコの色と呼称(監修:「オカメの翔国」クサナギ様)

それでは実際にどんな品種があるのかを、顔部分の色、体の羽色、羽の模様、3つに分けて見てみましょう。尚、オカメインコの品種名は、この3つを組み合わせて呼びます。例えば、

顔部の色→白い
体の羽色→茶色っぽい
羽の模様→さざ波模様がところどころ混じっている

この場合、ホワイトフェイス・シナモン・パールパイドとなるわけです。

※(注) 個体差がありますので、すべてが下表の通りとはかぎりません。

顔部分の色

ノーマル(Nomal) 黄色い顔に鮮やかなオレンジ色のチークパッチ(頬の日の丸s-O)。メスは黄色い部分が少ない。
パステルフェイス(Pastelface) チークパッチの色が少し薄くなり(bt-OY)、うっすらとオレンジみが見える程度になったタイプ。
イエローフェイス
(イエローチーク)
Yellowface
(Yellow Cheek)
セックスリンクド・レセッシブ・イエローフェイス
(Sex-linked Recessive Yellowface)
チークパッチのオレンジがかなり薄くなり(bt-Y)、ほとんど周辺の黄色と同化。顔全体が黄色に見えるもの。性染色体劣性遺伝のセックスリンクド・レセッシブと優性遺伝のドミナントがありますが、ドミナントの方が微妙に濃いようです。
ドミナント・イエロー・チーク
(Dominant Yellow Cheek)
ホワイトフェイス( Whiteface) リポクローム色素(黄色〜オレンジ)を欠き、全身が白〜グレーの単色相(無彩色)になったもの。顔のチークパッチもなし。

体の羽色

●は黒目 は赤(ブドウ色)目

ノーマル (Normal)● 個体差はありますが、だいたいme-GY〜d-GYの間ぐらいのグレー。
日本では「並オカメ」という少しかわいそうな呼び名も付いていましたが、最近ではあまり使われません。
シルバー
(Silver)
レセッシブ・シルバー
(Recessive Silver)
全体にノーマルよりグレーが薄くなったタイプで、光沢のある銀灰色に見えます。同じシルバーでも常染色体劣性遺伝のレセッシブでは目が赤く、足やくちばしはピンク、優性遺伝のドミナントでは目が黒で、足やくちばしはグレーです。また、ドミナントのうち、シルバー遺伝子が1つのシングル・ファクターでは、シルバー遺伝子が2つのダブル・ファクターよりやや濃い色調になり、スパングルと呼ばれる色の濃淡があるようです。
ドミナントシルバー
(Dominant Silver)●
シングルファクター
(Single Factor)
ダブルファクター
(Double Factor)
プラチナ・シルバー
(Platinum Silver)●()
オーストラリアでは、Sex-linked Recessive Silverの遺伝子が極端に弱まった変種で、ルチノーにうっすらとシルバーがかかっているものをPlatinumと呼んでいますが(目は赤)、一般的にはホワイトフェイス・ドミナントシルバーのうち、特に色が薄くプラチナのように光沢のある銀灰色なったものを指します(目は黒)。
シナモン(Cinnamon)● メラニン色素が茶色に変色したタイプで、l-brGYあたりのウォームグレーです。ヒナの時期は赤っぽい目をしていますが、成鳥になると黒目に変わります。また、別名「イザベラ(isabelle)」という呼び方もあるようです。
ファロー(Fallow) シナモンの色調が淡くなったタイプですが、メラニン色素が弱くなった為、リポクローム色素が強く現われ、黄色い色調がシナモンより強く発色されています(yGY)。目は成鳥でも赤目のままで、足とくちばしはピンク色です。
エメラルド(オリーブ)
(Emerald(Olive))●
実際にはエメラルド色をしているわけではありませんが、淡いグレーと黄色が混ざり、さらにスパングルと呼ばれるぼやっとした濃淡があることから、なんとなくエメラルド色に見えるというもの。日本ではオリーブとも呼ばれています。
イエロー(Yellow) 全身が濃い黄色に見えるタイプ。ほとんどの場合がルチノー・パール・パイドのことを指します。パールは黄色の発色が強く出る傾向にあり、濃い黄色とクリームのまだら模様は目立たないため全体が黄色に見えます。
ルチノー(Lutino) メラニン色素が欠けたタイプで、全身が淡いクリーム色、足とくちばしはピンクです。チークパッチのオレンジ色がひときわ映えて綺麗に見えることから特に人気があり、日本でも「白オカメ」という愛称で親しまれるほどポピュラーな存在です。目は赤目ですが成鳥になると濃いブドウ色になることから、完全にはメラニン色素を失っていないようです。
アルビノ(Albino) メラニン色素とリポクローム色素を両方欠いてしまったタイプで、当然全身は真っ白で完全な赤目。ホワイトフェイス・ルチノーがこれに当たります。また、俗に「スノー・ホワイト」とも呼ばれるホワイトフェイス・クリア・パイドも体は真っ白ですが、メラニン色素を持つため目は黒くなり、アルビノとは違います。

羽の模様

パイド( Pied) メラニン色素が部分的に欠落し、体がまだら模様になったタイプ。さらに、色の抜け具合によっても差別化されていて、比較的色抜けが少なく、グレー部分が多いものを「ライト・パイド」、色抜けが多く、クリーム色が勝っているものを「ヘビー・パイド」、激しく色抜けしてルチノーのように完全に全身クリーム色になったものを「クリア・パイド」と呼びます。ただしクリアパイドの場合はルチノーと違って黒目のままです。 また黄色部分が特にきれいに出たものを「プリムローズ・パイド(Primrose Pied)」とも呼ぶようです。
パール( Pearl) 羽毛1枚単位でメラニン色素が部分欠落し、さざ波(霜降り)のようなきれいな模様ができたタイプ。パールの場合、ノーマルより黄色が強い発色になる傾向が強く、特に黄色が強い模様になった場合は「ゴールデン・パール」、淡く白い模様が強い場合は「シルバー・パール」とも呼びます。また、この模様はオスでは成鳥になるとしだいに消えてしまうことが多く、メスの方がきれいにでます。
ホワイトフェイス・パールでは模様が完全に白とグレーになります。
パール・パイド( Pearl Pied) パイド遺伝子とパール遺伝子両方を受け継ぎ、パイドの色残り部分にパールが表れたタイプです。
また、特に色抜けが多いものを「ヘビー・パール・パイド」と呼びます。

※JBCCに基づく色記号は、あくまでも目安です。
※「オカメの翔国」マークが入っている写真は、すべてクサナギ様の許可を得て撮影したもので、著作権はクサナギ様にあります。無断での転載やリンクは硬くお断りします。

オカメインコ・ミニアルバム

現在、オカメインコにはこれだけたくさんの色変わり品種があるということをお分かりいただいたところで、それらの組合せによって生まれた珍しい品種や、特に美しいもの、可愛いものをもう少し紹介しましょう。

品種名は、複雑なものではかなり長くなりますので、一般的に顔部分の色を略号にして表します。また、品種名の順番は、便宜上ここでは顔色→体羽色→模様の順にしてありますが、一般的な呼び方はまちまちです。
尚、ここでの呼称は主に日本での一般的な例で、海外では通用しない場合もあります。

  • PF→Pastelface パステルフェイス
  • YF→Yellowface イエローフェイス(通常はSex-linked Recessive Yellow Faceのことを指します) 
  • DYC→Dominant Yellow Cheek ドミナント・イエロー・チーク
  • WF→Whiteface ホワイトフェイス

※「オカメの翔国」マークが入っている写真は、すべてクサナギ様の許可を得て撮影したもので、著作権はクサナギ様にあります。無断での転載やリンクは硬くお断りします。

オカメインコの未来

近頃はTVコマーシャルの影響などもあって、空前のペットブームが巻き起こっていますが、無理な交配や大量繁殖によって、さまざまな問題が起きていることも事実です。
オカメインコの場合も、ほとんどのルチノーに見られる後頭部の不毛部分は、無理な繁殖の結果だと言われています。お店で売られているオカメインコも、小さな籠の中に入れられたまま大量輸入されたものが多く、かなり弱っていたり、病気にかかっているヒナも少なくはありません。
今回取材に協力してくださったブリーダーのクサナギ様は、充分に広くのびのびとした環境の中でオカメ達を飼育なさっており、またヒナ達も手放すまで一羽づつ大切に育てあげています。オカメインコの巣引き・繁殖は、そう簡単ではありませんが、正しい知識を身につけ、整った環境の中でじっくりと時間をかけて行う必要を強く感じました。
今後も新しい品種はどんどん増え続けることでしょうが、まずは健康で丈夫なオカメインコの繁殖をペットショップや業者の方たちにもお願いしたいものです。本来は自由に大空を飛び回るオーストラリア最速の鳥、たとえペットとして生まれてきたとしても、できるだけ自然に近い環境で飼育してあげたいものです。


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