クリエイターが語る陶磁器の世界 今田レポート⑦
「陶器の変形(ディフォルメ)と織部」
今田 正義
イマダプランニング 代表
「わび、さびのお茶」の影響を受けて、陶製食器の変形が安土桃山時代に始まり、今日に続く割烹用の華麗な伝統があります。
陶磁器には焼成中に意図しない変形があり、それを意図的に作陶します。
歌舞伎の基になったと言われる当時の「傾く・かぶく踊り」で派手で異様な風俗や勝手気ままな行動も反映したでしょう。
現代絵画、彫刻では芸術的意図から実際の形を変えてデフォルメ(de'former・仏語)
表現する事が我が国の器では400年も前に有りました

意図的にデフォルメされた皿状の鉢。
鉄絵若芽文反鉢・唐津焼
佐賀県立九州陶磁文化館蔵
竹田恒夫氏寄贈
鉄絵は紅柄・酸化第二鉄を使って絵付したものです。
茶の世界ではひび割れたもの、焼成中に灰をかぶった物、汚れ、きず物まで洒落た景色として珍重する見方がありました。
東京・五島美術館所蔵の「破れ袋」の銘のある「伊賀耳つき水差し」は、学芸員の方の説明によれば、水を入れると漏るとの事。
Gパンに穴を開けたり、ヴィンテージ物には変わった装飾を付けたりするのに、一脈相通じる
ものがあるように思われます。

意図的に変形し、内側には「すり鉢」としても使えるように縦に刻み目がつけてあり、鉢の縁回りに窯変があります。
料理は煮物
全国日本調理技能士会連合会
大原雍彦師範作

良い意味での作意のある器。
素地に小石を入れ混ぜて焼成したプロ用の焼き締めです。
料理は前菜
全国日本調理技能士会連合会
豊岡正勝師範作

珍しい磁器の変わり形、木の葉形を模した豪華な皿。
料理
吸物として作られたパパイヤ、
すっぽんのスープが入っています。
全国日本調理技能士会連合会
遠藤真三師範作
桃山時代の武将で、千利休門下の茶人「古田織部(1544~1615)」は利休のあとを継いで、茶湯の名人と称され、自ら陶磁器の絵や指図を描いて陶工に作らせたのが「織部」です。
今で言うデザイナー、アートディレクターで、豪放華麗な茶器、食器を作らせ、今日に流れが
続いています。

現代の「織部様式」変形鉢。
一般家庭向き食器とは全く異質な華やかな料理を見せる器です。
使いにくく、洗いにくく、場所をとるプロ用のプロの鉢です。
料理はさしみ
全国日本調理技能士会連合会
上原清師範作
次回は「茶の湯の陶器」です。ご期待下さい。